新しい言葉
オレがパリに行く前、つまり3年9ヶ月前には日本に存在していなかったのに、帰って来たら頻繁に耳にするようになっていた言葉は例えば「紐付ける」だ。もともとは「リンクする」とか「関連づける」とかを意味するIT用語、なんだろうか? 出所はよくわからないけれど、IT関連だけではなく、例えば会社の組織の構造を説明する時に「このグループはさらにこっちのグループに紐付けられています」みたいな言い方をしたりする。別に「つながってます」でも「くっついてます」でも「関連しています」でも意味は同じなのだけれど、今は「紐付いてます」と言ったほうが断然新しいらしい。ってかむしろ古風な言い回しなのにね。
それからもうひとつは「お声がけ」だ。「今度、ぜひ一緒に飲みたいです。折りをみてお声がけさせて下さい」と言ったりする。3年9ヶ月前には「折りをみて声をおかけします」という言い回ししかなかったと思うのだが、いつの間にか「お声がけ」というように名詞化していた。なんでなんだろう?
「お声がけ」はちょっと居心地が悪い。「お声がけさせて下さい」と言いたいなら「声をかけさせて下さい」でいいと思うし、もっと言えば相手が誰であれ大抵は「声をおかけします」で充分だと思う。「声をおかけします」で充分なところを、もう一段階「敬語感」を強めるために「声をかけさせて下さい」と言おうとし、さらにそれでもまだ不充分らしく「お声がけさせて下さい」と言っているのだろう、「お」がひとつ増えるからね。
こういう「必要以上に敬語であろうとする態度」の典型的な例がレストランなんかでよく使われる「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」という言い回しだ。「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」という過去形の言い回しには「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」という言い回しに比べて「もし注文が以上でよろしくなかった場合、それはお客様のせいではなく、あくまで当方の聞き間違いです」とあらかじめ責任を自分に引きつけようとするニュアンスが感じられる。「責任を自分に引きつけようとする」と書くといい意味に聞こえるが決してそうではなく、責任の所在を吟味することを放棄しているみたいな投げやりな感じだ。つまり「ご注文が以上でよろしくない」のは客のせいかもしれないのに、あくまで「全部私が悪いんです」と主張している卑屈さにこっちが白けるのだ。
オレの想像だけど、こういう「必要以上な敬語」の発祥は電話で注文を受けたりクレームを受けたりするシステムの発達なんかと関係があるのではないだろうかと、金曜夜のドラマ「コールセンターの恋人」のついたテレビをぼんやり見ながら思った。


お、m.hasuiさん、絵文字を繰り出してきましたー!それなりにIT的な進歩が見られるようですね。
投稿: コールマン・ヘンケン | 2009年7月15日 (水) 午後 10時25分
いろんな言葉が生まれますねぇ。嫌いな言葉、その一
「にぎっておく」これ嫌いです。打ち合わせすると代理店の方がよく使います。ちょっと股間が痛い感じが嫌いです。クライアントのどこを握るという事なのでしょうか。
投稿: m.hasui | 2009年7月14日 (火) 午前 02時11分
そろそろ歓迎会ラッシュも落ち着きましたか。
今週どっかでメシでも行きましょうなどとあらためてお声がけさせて下さい(笑)。
投稿: | 2009年7月13日 (月) 午後 06時44分
紐付ける。。これ、僕も前に気になって調べたことがあります!実は新しい言葉らしく、SEの人とかが使い始めたようです。ご察しのとおり、IT用語ですね。紐付きという名詞は昔からあったのですが、紐付けるという動詞は今でも辞書には載ってないとのこと。英語のlink, connectを輸入した時に、こうなったみたいですよ。
投稿: LAのGO | 2009年7月13日 (月) 午後 12時00分