素晴らしいゲルマン野球
ドイツからドイツ人が来て、一緒に韓国料理を食べた。まぁドイツからドイツ人が来るのはシリアからフェニキア人が来るよりは普通のことだけれど。
初対面だった。
俺「我々日本人は、年齢を非常に気にするんですよ。なぜならもしあなたがオレよりも1歳でも年上だったら、オレはあなたに敬語をつかわなければならないからです。でももしあなたがオレと同い年かそれ以下だったら、タメ語です。では、差し支えなければ、年齢を伺ってよろしいですか?」
彼「45歳です」
俺「何だよそんなハゲちょろけのくせにオレより年下じゃん! 勝ったな!」
実際の会話は英語で進行したので日本語に比べて明確な敬語/タメ語表現ではないのだけれど、まぁ接するにあたっての気の持ちようはぜんぜん違うのである。
俺「オリヴァーはさぁ、なんかスポーツはやってんの?(すでに上から目線)」
彼「ヤキュウをします」
俺「野球? ドイツ人なのに野球? 吉田義男に習ったのか? それはドイツじゃなくてフランスか・・・」
彼「ヨシダヨシオ? それ、マザーグースのキャラクターですか? ハンプティダンプティみたいな。ワタシはアメリカのサンディエゴに住んでいたことがあって、その時にドジャース・スタジアムでロサンジェルス・ドジャースとモントリオール・エキスポスの試合を見たのがヤキュウとの出会いでした。ドジャースのピッチャーはハーシュハイザー、エキスポスはマルティネスでした。試合は1-0でドジャースの勝ちだったのですが、素晴らしい投手戦で、それ以来すっかり野球に魅せられてしまったのです」
俺「(最初に見た野球の試合が1-0の投手戦で、しかもそれに退屈するどころか「魅せられて」しまうこの男って一体・・・と思いつつ) へー、普段どこでプレイしてるの?」
彼「ドイツにいくつかヤキュウのチームがあって、そのうちのひとつに所属しています」
俺「だけど野球場なんかないだろ?」
彼「たいていはサッカー場でやります。サッカー場で野球をするとたとえばレフト線に対してライト線が極端に短くなってしまうので、試合前に『ライトのオーバー・フェンスはホームランではなく2塁打』とか、ローカル・ルールを決めてからやります」
俺「なるほど。オリヴァーの、守備位置と打順は?」
彼「ライト・フィールダーです。打順は1番です」
俺「イチローじゃん」
彼「いや、そんな(照)」
俺「からかってんだよ。真に受けんなよ。足、速いの?」
彼「ワタシは背が低いので、フォア・ボールをゲットしやすいんです。だから、トップ・バッターなのです。足が速いわけではありません。ドイツには、コントロールに苦しむピッチャーが多いのですよ」
俺「まぁ日本人みたいに、ガキの頃からキャッチボールしてきたわけじゃないしな。で、オリヴァーのチームは、名前なんていうの?」
彼「マンハイム・アミーゴス、です」
私のチームの名前は、マンハイム・アミーゴスです、と言った時の彼は、自分のチームへの愛と誇りに満ちていた。ドイツの野球チームの名前が何でスペイン語なのか、と詰問しようとしたけど、日本の大阪にだってわけもなくスペイン語の名前を持つサッカー・チームが存在することを思い出して、やめた。
マンハイム・アミーゴスに栄光あれ!だ。











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